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黒錆



漫画 "いばらの王" 6巻 著:岩原裕二

 お話完結。安易なグッドエンドでも、救い様の無いバッドエンドでも無い終わり方が実に特徴的。どちらかと言えばこれから世界を取り戻していく、否、取り戻していかねばならないけれどもそれに見合う希望(力)はあるぞ、という終わり方。一仕事終えた、さぁこれからまた一仕事だ、という。

 と言うか、またもや内容が良く思い出せないままノリで読んでいったのがいけなかった。とても複雑且つ抽象的な内容だから記憶とちゃんと折り合いつけていないと最後の最後まで楽しめないかも、と判っていたのにそれをやってしまった訳で。一気に読んでしまいたかったからそこはまぁいいか。また暫く経ったら全巻一気に読んでしまおうと思います。その時の読後感はまたちょっと違うものになりそう。
 オビの売り込み文句にある「岩原裕二のダークホラー」とあるんだけれども、これはダークホラーって言えるのかなぁという疑問がぽつりと。というかダークホラーってそもそもどんなジャンルなんだ?ダークホラーとホラーは別物?ダークだけでは足りないしホラーだけでも駄目というジャンルなんだろうか、ダークホラーをダークホラーたらしめているモノとは何だろうか、とちょっと考えたけれども結論出ず。修飾句みたいなもの?





 いきなりマルコが死ぬ話から始まるんだけれども、まぁコイツは殺しても死なないだろうなぁと軽くあしらって読んでいく具合。……ぁ、ホラ。生き返りましたよ(ぁ

 今回この最終巻で活躍が目立ったのはゼウスもさることながらアリスが挙げられるんじゃないでしょうか。直接マルコを生き返したのもアリスの所行ですし。逃げる時の状態がもうFFⅦのケット・シー状態ですけれど。実のところ個人的にはもっとアリスに活躍して欲しかった。一番最初のメデューサ発動患者な彼女に愛の手を。だってアレですよ、もう瀕死なのに同じように瀕死なマルコを見つけていう科白が「アナタひとりじゃどうにもならないでしょうから……、私の残りを全部あげる。感謝なさい」ですよ?何この高飛車。
 次点のゼウス。本人はまぁ当分前に死んじゃっている訳ですけれどもプログラム内に生き残っているというこの人、本体は紐なこの人、何とかして下さいよ。もう、この人のどの科白読んでも声が那智になっちゃうんです。アニメ化の際は(そんなのしない方が良いと思うけれども)是非野沢氏にゼウス役を。那智。那智。あぁもう大好き。
 ラストへと続く場面。マルコはゼウスと、カスミはシズクと張り合う(?)重要な場面なんですけれども、漫画上でデータのクラックを表現するのは相当しんどそうで、カスミの頑張りに比べてマルコの頑張りが何となく薄く感じられる。ほいほいっとやって出来ちゃいました、というか。ヒーローとヒロインが別々の場所で同じ様に同じ比重で決別を果たす、という展開を待ち望んでいた為にその様に感じられるのかもしれませんが。或いはカスミの方が重すぎ?この漫画に於ける究極の種明かしがなされる訳で。種明かしへの流れはミステリを彷彿とさせるしっかりとした内容だなぁと思いましたよ。反面、こんなんでいいのかなぁとも思ったけれどもまぁ良し。双子は何かと大変ですね。傍目から見ている限りは萌え萌えだけど(死

 ティムとアメリカ人のオッサン(名前失念)はかなり薄い立場に追いやられちゃいましたね。移動手段としてティムはまぁまぁな活躍でしたがオッサンに関しては居ても居なくてもどうでもよかったような感じ。って言ったら言い過ぎかな。多分客観的な立ち位置として残しておきたかったんだろうなぁ。他の客観的な立ち位置の人、死んじゃったし。オバちゃん。捕まったオバちゃんの"夢"は結局どうなったのかしら。

 "夢"やら"思念"やらを現実化・物質化させちゃう"病気"か。現実にこんなのあったら結構洒落にならないような感じですよね。ヲタ共の「夢」の濃さを想像するとこの漫画とはまたちがった別の悪夢が見えてくるような気がして背筋が凍る思いがします。僕もきっとロクな夢みてないから、ロクな目に遭わないんだろうなぁ。石化はしたくないし。

 おまけページが良い味出してます。
by kurosabi | 2005-10-25 19:12 | 感想
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