感想を書くほどの物でもないけれども、気付いた点・感動した点などをメモ。
まず本そのものの体裁。文花帖と比べて格段に良くなっている。表紙もボール紙製で重厚、花布や栞紐完備と、その辺にあるハードカバーと同じ作り。下手するとその上。公式ファンブックと公式資料集の違いとはこの様な物か。
後書きでも書かれてる通り、表紙と後書き以外は稗田家九代目・阿求が編纂した幻想郷縁起という形を取っており、東方系列に於ける弾幕ゲー(或いはそこから延長・発展した諸々)そのものを楽しむ上では何の足しにもならない資料となっている訳で、変な話こんな本にこれほどまでに手間暇を掛けてどれだけの人間に売るつもりがあるのか、どれだけの人間に売ることが出来ると考えているのか、等という一般人にとってはどうでも良い事を想像すると、「日本経済の一角を担う重要な産業」という厭な単語が連想されて妙な汁が出た。
さて、幻想郷縁起。概ねの頁は妖怪図鑑に割かれており、東方シリーズに登場するアイツらに関して客観的な視点で描かれている。イラストも交えられており、既知・未知の人妖の姿を目に出来て斬新。三月精のあの三匹なんて見たこと無かったしね。
幻想郷に於ける人間の里の住人(つまりは人間の事だけど)に因る"妖怪目撃談"的な一言が、少年誌巻末投稿コーナーよろしく各妖怪につき載っており、そこがまた面白い。中には項には直接関係無さそうなコメントに対する著者(阿求?神主?)のツッコミがあり、シュールで笑える。
妖怪達に会わない為にはどうするべきか。また、会ってしまった時はどう対処すれば良いのか。ある意味、対妖怪用ガイドブックの様な体裁とも見える訳で、その記述からまたあれこれ想像を働かせるのも一興。チルノに会ったらなぞなぞを出せばいいんだってさ。なるほど。
違和感を感じたのは主にイラストに関して。うどんげのしっぽと耳、文の羽根。
まずは前者から。東方wikiには(公式設定とは言えない乍らも)「しっぽがあると偽物」と書かれてある(06.12/30現在)ので、これは大いに違和感。いくら兎と言えども地球の兎と月の兎は種族が違うというか、なんというか。うどんげにしっぽは無い派で行きたいと思う。あと、耳。うどんげの耳は本物ではなくて偽物、付け耳だとあれほど(略
後者。これは東方wikiでも疑問系で著されているから何とも言えないけれども、やはりあるのかなぁ。鴉天狗だし。
霊に足がない説はもはや死んだ説?……区分としては、霊というカテゴリから幽霊・亡霊と別れていく感じだと思うのだけれども、描かれているどちらの霊にも足が描かれている。まぁ、本来霊に足がないというのは、件の"幽霊の絵"から来たある種俗説みたいな物だから、あまり拘る必要も無いのかも知れない。
その他、イラストに関して感じた事を列挙。
・レティの可愛さは異常
・リグルの流し目のエロさは異常
・幽香ちゃんの笑顔の可愛さは異常
・紫の乳は異常
・うどんげと文のスカート丈の短さは異常
他、アリスは生まれつきの魔法使いじゃなかった公式設定とか、慧音が寺子屋をやっている公式設定とか、細かく見ていくと色々発見があったような気がするのに、それ程斬新さを感じないのは何故か。二次創作から公式設定と成った所為が多分にある気もするけれども、それだけで解決するのもえげつない感じがして嫌な感じだ。まぁ、良くも悪くも大衆受けして設定が伸びていく世界観なので、ごちゃごちゃしつつもある一定の形に収まっていくこの感じが心地よいというか。
などなど。色々書きたい事が浮かぶんだけれども独り善がりになるし、外に出さないからこそ面白い事もあるもんだからこの辺にしておこうかと。
総じて言えることは、一回全部読んだから楽しめる資料集というよりはちょくちょく見返してニヤリとするような公式資料集だな、と。